Solo Live(ミシェル・ペトルチアーニ)

1997年2月のフランクフルトでのソロパフォーマンスの実況録音です。
ペトルチアーニの代表作といってよい曲が多く演奏されているので、彼のベスト盤という感覚で聴いてみるのもいいでしょう。
アルバムの前半は、各曲の演奏時間が比較的短めで、メドレーっぽい感じで進行します。美しい曲が次々と現れては消えます。
アルバムの後半は、各曲の演奏時間を長くとっていて、ペトルチアーニのピアノをじっくりと堪能できます。

  1. Looking Up

    冒頭の、ペトルチアーニを紹介する少し興奮気味のアナウンスと、それに続く会場が割れんばかりの盛大な拍手。拍手が止み、一瞬の静寂とともに、ペトルチアーニが書いた曲の中でも最も印象的なテーマを持った曲が演奏されます。一度聴いたら忘れられなくなる美しいメロディ。きっと貴方を虜にするでしょう。

    Blue Note時代に「MUSIC」で初めて録音され、「ライヴ」でも取り上げられていました。

  2. Besame Mucho

    多くのジャズ演奏者に取り上げられ、スタンダードの名曲として名高い曲です。ペトルチアーニの緩急自在のテーマ処理が見事。時には軽くロールし、時には荘厳に、時にはブルージーに、貴方の心に迫るでしょう。

    シャンゼリゼ劇場のミシェル・ペトルチアーニ」でも取り上げている曲で、また、「マーヴェラス」では、この曲をストリングスをバックに演奏しています。

  3. Rachid

    今度は、「プレイグラウンド」に収められていた、ペトルチアーニ作の小品です。エレガントに演奏されています。

    ライヴ」、「シャンゼリゼ劇場のミシェル・ペトルチアーニ」や、「デュオ・イン・パリ」といったライブ盤で取り上げられている、ペトルチアーニお気に入りの曲です。

  4. Chloe Meets Gershwin

    作曲家ジョージ・ガーシュインに捧げられた曲で、テーマの雰囲気が、格調高く、かつ楽しげで、ガーシュインの作風をよく反映している曲だと思います。

    ボース・ワールズ」で初演。ペトルチアーニの貴重な映像作品「ライブ・イン・コンサート」でも演奏されています。

  5. Home

    1曲目の「Looking Up」と勝るとも劣らない名曲がこれです。4曲目の「Chloe Meets Gershwin」のエンディングで、「Home」のテーマをペトルチアーニが弄びながら、暫くピアノを弾いて、その後、テーマに移るのですが、この瞬間は、私個人的には、涙腺が決壊する瞬間だったりします。この曲も一度耳についたら、離れることはないでしょう。

    初録音は「プレイグラウンド」です。「ライヴ・アット・ブルーノート東京」でも素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

  6. Brazilian Like

    ボース・ワールズ」で録音された名曲。スタジオ録音時は、ホーンを加えた秀逸なアレンジで、かっちりした印象でしたが、ソロ演奏になると、しっとりとした演奏を聴かせてくれます。

    ライブ・イン・コンサート」でも取り上げられています。

  7. Little Piece In C For U

    フラミンゴ」録音時に書かれた、偉大なるヴァイオリン奏者、ステファン・グラッペリに捧げられた、明るいテーマを持った曲。ペトルチアーニの指がピアノの鍵盤の上で無邪気に遊びまわります。

    ライヴ・アット・ブルーノート東京」では、アルバムの前半のハイライトとなっています。

  8. Romantic But Not Blue

    ペトルチアーニのピアノの音色は、乾いた音色がするので、ロマンチックではあっても、甘ったるくなることがない、大人のチョコレートのような味わいです。この曲のタイトルが、如実にそれを表しています。ビターな感じがとても心地よい演奏です。

  9. Trilogy In Blois(Morning Sun, Noon Sun And Night Sun In Blois)

    うって変わって、とても叙景詩的な一品。ペトルチアーニの「静」の面が現れた、とても静かな演奏です。

    シャンゼリゼ劇場のミシェル・ペトルチアーニ」でも演奏されています。

  10. Caravan

    名作曲家デューク・エリントンの曲で、多くのジャズ演奏家に取り上げられた曲です。10分にも渡る長い演奏ですが、緩急のつけ方が見事で、時には、嵐が訪れたり、時には、キャラバンが軽快に疾走したりします。飽きることのない演奏です。

  11. She Did It Again/Take The A Train/She Did It Again

    アルバムの最後は、おそらく、もっとも多くの人に知られた名スタンダード「Take The A Train」のコード進行を元にして、ペトルチアーニが書いた曲、「She Did It Again」が演奏されます。演奏の中盤には「Take The A Train」も挟まれます。ペトルチアーニの特徴である、似たようなフレーズを繰り返しながら、場の雰囲気を盛り上げて行くスタイルが印象的です。

    ライブ・イン・コンサート」でも、コンサートのクライマックスを飾る、素晴らしい演奏を聴かせてくれます。